「流される自分」を楽しめる作品。湊かなえ『白ゆき姫殺人事件』
2016/09/22
最寄り駅の本屋に寄っていたら、3/29に映画ロードショーということで「白ゆき姫殺人事件」の予告編をやっていました。
流しっぱなしにされてる予告編をぼ~っと見ていて、気づいたら4周してました。
その下に平積みされていた、湊かなえ『白ゆき姫殺人事件』を気づいたら手に取っており、気づいたら会計を済ませ、気づいたら読み終わっていたのでした。
あらすじ
あらすじは先ほどの予告編を見ていただければ分かると思うので、省略。
この作品の魅力
この作品はフリーのライター、赤星雄治のインタビュー内容を記録するという形で書かれています。
被害者三木典子の後輩、狩野里沙子、容疑者城野美姫の後輩、満島栄美を皮切りとして、城野美姫と恋人関係にあったと言われる篠山係長、城野の同級生などあらゆる方面からの証言が出てきます。
三木典子によくしてもらっていた狩野里沙子の証言を読んだ後は、「うわ。城野美姫、不気味なやっちゃな」と思いました。
それが満島栄美の証言を読んだ後には「たしかに不気味だけど気持ちはわからないでもないかな……」なんて思っちゃうんです。
そしてある段階で、自分の見方が証言に流されてころころかわっていることに気がつきます。
これがたまらないんです。
思ったこと
証言してる人たちは自分の見ていた世界をそのまま伝えようとしますが、どうしてもそこには主観が入ってきて、結果的に話を盛ってしまうこともある。もちろん保身のために嘘をつくこともある。
話を聞き出すことしかできないインタビュアーは個々の証言をつなぎあわせて真実っぽい何かにたどり着かなきゃいけない。
(『藪の中』を思い出しますね)
「一方の意見だけ聞いてると偏った見方になるから良くない。逆の立場の意見も聞いて総合的に検証することが必要である」
みたいな主張は常日頃あらゆる場所で為されているわけですが、これって実はかなり危うい発想なのかもしれない。
確かに特定の意見だけ聞いてるとその意見に引きずられてしまうのは間違いないのでしょう。
かといって、逆の意見も聞いてみるというのは「客観的な気分になってるだけ」かもしれない。
むしろ「これが客観的絶対的真実だ」と思ってしまう危うさすらあります。
だからといってどうすりゃいいかって言われると困っちゃいますけどね。
そういう危うさに気づいた上で自分なりに「総合的に」判断するしかできないんでしょう。人間だもの。
映画も楽しみです
映画のインフォメーションページがこちら。
映画『白ゆき姫殺人事件』作品情報 2014年3月29日公開!
Webデザイン的にもなかなか面白い感じ。
スクロールしていくといろいろ起こります(説明するの難しい……)
主演は井上真央と綾野剛です。
井上真央は久しぶりに見た気がしますね。
トッカンで見たのが最後だったかな。
4月になったら観に行こうかと思います。
今回はこのへんで。それではまた。